三河仏壇 組立師・都築数明 ―前編―

三河仏壇とは ―アートマン・ジャパン―
古い家を訪れると大概、立派な仏壇のある仏間がある。
仏壇の歴史は古いが、元禄17年(1704年)、仏壇師庄八家の登場により三河仏壇が製造されたことで、家庭でも毎日仏様に手を合わせる習慣が根付いたと伝わっている。
この三河仏壇は、言うに及ばず三河地方独特のものであるが、家庭の押入れに入るサイズ、仕様で工夫が施されていることが特徴でもある。昭和51年には、その高い技術が評価を受け、経済産業大臣より伝統的工芸品に指定された。

さて、この三河仏壇が出来上がるには8つの工程を要し、
それぞれに匠の技が用いられる。
1 木地師 仏壇の外郭本体を作る
2 宮殿師 仏像・仏画を安置する須弥壇・屋根・桝組を作る
3 彫刻師 仏界のさまざまな絵模様を木彫する
4 金物師 仏壇に取付ける錺金具を作る
5 塗 師 木地部分に漆塗りをする
6 蒔絵師 漆塗りされた部分の必要な個所に絵模様を描く
7 箔押師 漆塗りされた個所に金箔を貼り付ける
8 組立師 錺金具を取付け各部分を検査し一本の仏壇に組立てる

その工程のすべてが職人の手によって作られ、職人から職人へと渡されるごとに、一本の木だったものが、彫刻を施され、漆が塗られ、金彩があしらわれて次第に仏壇の相を成していく。最後には、組立師ができあがったパーツをすべて組み立て、完工となる。三河仏壇は各々の職人が持つ技術の集合体なのだ。
「仏壇を作る際にもっとも大事なことは”遊び”です」
と、組立師の都築数明さんは語る。
「設計の時点では、少し遊びを作っておかないといけないんですよ。たとえば、漆を塗ると元の木地よりも厚みが増してきますから、その厚みを考慮して設計しないと、きれいに組み立てられません。」
仏壇の設計も手がける組立師だからこその言葉だ。
様々な工程を要し、そのすべてが人の手による仏壇であるから、決して設計図通りに行くとは限らないのだが、それを含んだ上で完成図を思い浮かべる。自然のものを人の手で加工していく工程で生じる誤差や、職人一人一人のクセも承知していなければできない作業。三河仏壇の製作は、職人同士の無言の信頼の上に成り立っているのだ。
組み立てあがった仏壇は荘厳な輝きを放ち、佇んでいる。
















